E.A.T.-芸術と技術の実験展

Written by kamochan May 30th, 2003

2003.4.11 – 6.29 NTTインターコミュニケーションセンターにて開催された。

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……E.A.T.(Experiments in Art and Technology)は、1960年代半ばに、当時AT&Tのベル電話研究所にいた技術者、ビリー・クルーヴァーを中心として、画家ロバート・ラウシェンバーグ、ロバート・ホイットマンらによって結成されたグループです。ニューヨークを拠点として、美術、ダンス、電子音楽、映像など幅広い表現ジャンルを横断し、アートとテクノロジーを結ぶ数多くの実験を行いました。……
(2003.4.11 – 6.29 NTTインターコミュニケーションセンター[ICC])

私事が重なったのと寒かったのが加わって、なかなか展示に足が運ばなかったのですが、そろそろ暖かくなってきました。というわけで、今回はいつもの定番のNTT/ICCへ向かいます。今年度からメンバーシップ制度が、なんと年間2000円というお得な価格に。早速、入会手続きを済ませて展示室へ。(余談:何年か前もメンバーシップに入る手続きの際、当時学生だったので学生料金を支払ったのですが、その展示を見る為に別に普通の料金を支払った気がします。展示を見る前の段階でメンバーシップなんだから無料のハズでは?今回はそんな事ありませんでしたけど。)

階段を上り、すぐ右手のギャラリーでは、創設者のビリー・クルーヴァー(Billy Klüver)によるE.A.T.の歴史を綴ったパネルと、その活動で使用されたラジオや道具、ビデオなどの展示を行っており、記録フィルム上映もされています。パネルとほぼ同じ内容ですが、ビリー・クルーヴァー自らが語る、E.A.T.の歴史を解説した60分のビデオがおすすめです。

さて、E.A.T.とはどんな活動を行っていたかというと、エンジニアの持つ技術で芸術家のイメージに新しい表現を与える、芸術家のリクエストに応えて、エンジニアが新しい技術を開発する…と言ったように、お互いがお互いを高めていくような「出会いの場」を提供していたようです。その活動は、1960年3月17日、ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely)の「ニューヨーク賛歌」が公開され、ここから始まったと言えるようです。自動ピアノ演奏マシンが、自演しながら自滅していく27分間の野外インスタレーションに、ビリー・クルーヴァーが協力しました。
そして、数々の活動を経て、1966年10月13日から10日間、ニューヨークの69番兵器工廠(アーモリー)で開催された、“九つの夕べ-9 Evenings: Theatre and Engineering”が、E.A.T.の存在を強くアピールするイベントになりました。実際に使用したバンドネオンや、記録ビデオとその時の写真の展示等もありました。モノ自体は当時の技術を使っているので、当然古いのですが、ラジオを改造した物やトランジスタや配線が残る大きな箱など、そこには芸術と技術の間に、表現者である人間の存在も確実に映し出されていました。今では芸術と技術を融合するためのコンピュータの存在は欠かせず、人間の介在を消しゆくこと、つまりはコントロールされた自然を、あたかも人の手が関わっていないように見せることが、ある種の目標点になっていると思い、この転換点がいつ頃だったのかというのが興味深いところです。

日本での活動としては、1970年に開催された大阪万博のパビリオン・ペプシ館を担当。ドームのパビリオンを霧で覆うシステムを提示しました。ビデオアート作家・霧の彫刻家で知られる中谷芙二子も参加(当時はE.A.T.東京支部代表)しています。この時、パビリオンの天井に使われた鏡やサウンドも展示してありました。
また、当時、国際的なコミュニケーションを身近なものに感じるためのプロジェクト「ユートピア-Q&A」の展示もありました。テレックスで他の国の人に質問を投げかけると、その国の著名人が解答を書き、翻訳されて帰って来るというもので、もちろん紙ベース。書いてある質問はどことなくその当時を反映していて笑ってしまいます。それがわずか30年程度で、こうして現実に、世界が個人個人の目の前にあるという世の中になったという訳です。本当に技術の進歩は早いものです。

他の展示としては、E.A.T.とのコラボレーション作品として、今では良く目にするようになった、ガスの入った銀色の風船…これはアンディ・ウォーホル(Andy Worhol)の”Silver Clouds”、トリシャ・ブラウン(Trisha Brown)+中谷芙二子の”Opal Loop”、ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)の作品群などがあります。とりわけ目をひいたのは、”Opal Loop/雲” で、1980年に演じられた作品を、巨大な霧発生装置によるスクリーンで上映するという作品で、上映されているダンスの浮遊感と霧のスクリーンが何ともいえず、幻想的でした。もともとダンス作品であるものを、こうして再構築するというのが単純にすごいなあ…と思ってしまいます。この展示は、霧発生装置のインターバルがあるので、30分に1度なのでタイミングを見計らって行きましょう。

テクノロジーと芸術の進化は、とどまることを知りません。NTT/ICCの活動理念に直結する、歴史的意義を明らかにするとパンフレットでは締めくくられていますが、技術と芸術という一見相反するものが、相互作用によってそのレベルを高めあうという考え方と、それを実際に活動に表現していく流れが留まることのないよう、私は願ってやみません。

※NTT/ICCも来場者が少なくなってしまったのか、はたまた日本の不況の深刻さが反映されてしまっているのか、どことなく元気がないという話をインターコミュニケーションでも見ました。確かに休日なのに人が少なめ…。扱っているテーマは日本では希少です、頑張ってこれからも魅力的な展示を続けていって欲しいです。

 

  • Photo: kamochan

ART-MEMO

2015.04.11 – 2015.06.28 東京都現代美術館にて開催された。

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UNCATEGORY

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