リートフェルト展

Written by kamochan March 21st, 2004

2004.01.17 – 2004.03.21 府中市美術館にて開催された。

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……これまでリートフェルトは、オランダの近代デザイン運動「デ・ステイル」のメンバーとして、どちらかと言えば前衛的な建築家と考えられがちでしたが、この展覧会では、リートフェルトの隠れた本質-職人性、暖かみ、ウイット、使いやすさ、単純さなどについて、実際に触れることの出来る家具、三次元的なインテリア展示、大人も子供も楽しめるワークショップなどを通じて、分かりやすくご紹介します。……
(2004.01.17 – 2004.03.21 府中市美術館)

今回の企画展示は、大日本印刷のartscapeを見ていたら、偶然見かけたものでした。期間はまだあったので早速予定を立てて行くことに。ここ府中は、大学時代、京王線で日々通った思い出の沿線でもあります。府中市美術館は府中の森公園に位置する綺麗な美術館です。いつの間に出来たんだと思いきや、2000年に出来たばかりの建物でまだ新しいです。美術館裏手にある来場者の駐車場に車を止めて、早速美術館へ。ちなみにこの駐車場、無料です。

ヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld)と言えば、1997年セゾン美術館で開催された、デ・ステイル展。その中でメンバーの一員として紹介されていたアーティストです。思えば、ここから強烈に美術の世界に興味を持ち、引き込まれた思い出深い美術展でした。そのアーティストの展示とあらば、行かないわけにはいきません。

チケットを購入し、エスカレータで2階に上ると、早速展示ルームがあります。展示は3部に分かれて構成されていました。まずはリートフェルトの作品紹介、年表というような概要展示、個々の作品の詳しい説明、最後にリートフェルトの集大成とも呼べる、シュローダー邸の説明という展示にまとめられていました。

特徴的な色彩使いと単純な形の木。リートフェルトは、これらを組み合わせて家具を作っていくスタイルです。これらを見るのが初めてというわけではなく、7年前のデ・ステイル展の復習と言った感じでしたが、知らなかった事がたくさん出てきて、改めて「へぇ~…」となってしまいます。例えば、詳細な設計図はほとんど不要で、構想からプロトタイプまで8時間程度で作られるものもあったとか。また、「ほぞ」ではなく、「だぼ継ぎ」による設計を、構造の自由度の高さから採用していたなどです。設計図不要とはいえ、逆にこのシンプルさからはとても想像できないほど、見事な椅子や食器棚が目の前にできあがっています。

続いて、椅子好きなら誰もが知っている、かの有名な “Red and Blue Chair” と、”Zig-Zag Chair” “berlin Chair” のレプリカと構造説明の展示があります。色が塗られた木の板と木の棒、だぼつぎとボルト・ナットで構成されたシンプルな形。うーむすばらしい。これだけ見せられたら、椅子なんですから座りたくなるのが人間というものです…座れないのか…??構造説明の方は、コンピュータグラフィックスで作られたアニメーションです。ガウディ展でも見られたように、このような説明があると分かりやすくて親切だと思います。
現在でも、”Red and Blue Chair” と “Zig-Zag Chair” は、カッシーナ・イクスシー社がレプリカを製造していて購入することが出来ます。木の椅子・家具と考えたらやっぱり高いと思いますが…。

うーむすごいうーむすごいと繰り返しつつ、最後の部屋には、リートフェルトの代表作、シュローダー邸の模型があります。最近の家の傾向からすると、割と日本の町並みにこのような外観の建物があってもさほど違和感なさそうな気もします。しかし、1925年にこんな先鋭的なデザインで実際に建物が建てられていることに驚きです。以前見たときも思ったのですが、隣はレンガの建物で、そのギャップにもおもしろさを感じましたが、シュローダー邸は隣のレンガの建物の頑丈さを利用して建てられている…と説明にあり、またびっくりしました。そんなの許されるのか…。リートフェルトも晩年を過ごしたこの建物、オランダのユトレヒトにあるので、死ぬ前に一度は見に行きたいと思います。

最後には、”Red and Blue chair” を小さな模型で作れる簡単なワークショップもありました。そして!”Red and Blue chair” と “Zig-Zag chair” に実際に座れるのでした!美術館の展示ってこういうのが意外にありそうで無いんですよね…。というわけでこんなチャンスなかなか無いので、ばっちり座ってきました。”Red and Blue chair” の方は、割とどっしりとしてて意外にも座り心地良し。さすがは家具職人の作った椅子です。傍目にも座ったら壊れてしまいそうな片持ち椅子の “Zig-Zag Chair”。見た目とは裏腹に座ってもびくともしません。当たり前ですが…。しかし座っていてもなんかコワイです。気分的に落ち着きません。

欲を言えば、もっと作品を紹介して欲しかったというのが感想ですが、これまで知らなかった椅子の構造や、実際の家具を見られたこと、そして、椅子に座れたのが何より満足感の得られる展示でした。デ・ステイル関連の展示をもっとみてみたいなあ。

#2004年3月28日~5月23日まで、宇都宮美術館に巡回する予定だそうです。こちらのページの方がよく作られてます。がんばれ府中。

 

  • Photo: kamochan

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