田原桂一 光の彫刻展

Written by kamochan January 12th, 2005

2004.11.20 – 2005.01.23 東京都庭園美術館にて開催された。

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……パリの屋根裏部屋での朝の一服の煙草。朦朧とした意識の中で、窓の外から煙に差し込む日本には存在しない硬質な光を見出した田原桂一は、それを写真で捉えようと考えました。その時田原は22歳。1973年のことでした。以来今日まで続く、彼の「光」に対する探求が始まりました。 ……
(2004.11.20 – 2005.01.23 東京都庭園美術館 田原桂一展)

大晦日に雪が降り、年が明けるとともに急激に冬に向かって行った2005年の東京。正月気分もそこそこに、風の吹きすさぶ中を早速美術鑑賞に行って参りました。本年の第一弾は「光の彫刻」です。この備考録によると東京都庭園美術館には2002年の夏・ソニアドローネ展以来の来訪です。

入口から美術館に至るまでのアプローチに置いてある彫刻が “光の門” です。白い大きな門は青い空に良く映えていました。子供達もこれはなんだという感じで門をくぐっていたりしていました。

風は強いですが天気は良いので、久しぶりに庭園を見て回ったのですが、池の鯉も寒くて動きが鈍いようでした。確かに寒いので早速美術館に入って、展示を見ることにしました。実は今回は「彫刻」というタイトルを額面通り受け取って、田原桂一(Keiichi Tahara)氏を彫刻家だと思っていたのですが…。

…なんと田原氏は写真家でありました。その作品を見て「光の彫刻」と銘打たれているのも納得です。エントランスを入ると、すぐにいくつかの石の彫刻があるのに気づくのですが、透明なガラスに照明や外光で写真を写しだしているものなのです。これが “トルソー” シリーズでした。石に写真が写っているというのも不思議な感覚なのですが、さらに写っているものが石の彫刻だったりするので、微妙に感覚がずれてきます。被写体には、ロダンの彫刻を選んでいるようでした。NHKの番組で昨年末に放映されていたようです。

赤絨毯の階段を登り2階へ進むと、こちらには若き日の作品 “窓” シリーズが展示されています。モノクロームの重厚感がより際だつ被写体はパリの町並みでしょうか。かすかに屈折するガラスを通したその反対側の風景が確かに「光」を強く認識させてくれるものかと思います。少し進むと展示室の一室が古いバスルームを模した部屋となっていて、そこに「窓」の写真が収まっていました。この美術館にしてはちょっと変わった演出でいいなあと思いました。

この美術館は旧朝香宮邸の建物なので、元々の部屋が何に使われていたかという説明も合わせて置いてあります。詳しい解説は庭園美術館のサイトにありました。部屋の中にはテーブルやスタンドが置いてあったりしたのですが、これも田原氏がデザインしたもののようでした。
写真展を見に行くといつも思うのですが、私もいつかはこのような重厚な写真を…と今回も思った展示でした。

本展示は2階までだったのですが、以前は無かった、3階のウインターガーデンが修復完了して去年から公開されているようで、そちらも見てきました。植物用の小さい温室の事らしいのですが…、2階の渡り廊下と同じ市松模様のタイルで構成された、まさにモダンな空間でした。

この美術館は、建物由来の品格と場所のせいか、美術館スタッフや見に来ている人がみんなエレガントに見えます。今日は一応まともな格好をしてきたので良かったなぁ…と変なところで心配をしてしまうのでした。

帰り際にまだ一度も寄ったことが無かった、美術館入口横の “カフェ・デ・ザルチスト” に寄ってみました。このカフェにはロードサイドから直接行くことが出来ます。思っていたよりも安く、リーズナブルにお茶が楽しめるカフェでした。ケータリングもやっているみたいです。さてカプチーノでも注文を…とメニューを見るとなんとここでも田原氏プロデュース!もちろんこのケーキセットを注文してみましたが、ボリュームもあってなかなかおいしかったです。まさか田原氏はパティシエでもあるのか…?

#このカフェには猫も良く来るみたいです。なでさせてくれますが、かまいすぎるとネコパンチが飛んできますのでご注意を。

 

  • Photo: kamochan

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