オープン・ネイチャー展

Written by kamochan June 30th, 2005

2005.04.29 – 2005.07.03 NTTインターコミュニケーションセンターにて開催された。

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……多くの芸術表現において、自然は外的な模倣・描写の対象でした。しかしコンピュータ内に表現される自然は、人間の知覚認識や既成概念ではとらえきれない組織化を実現することで、メディア・アートに新たなヴィジョンを与えています。アーティストは、現在の科学技術や思想、政治、経済の動向と共振し、社会、都市、宇宙、そして自らを含む世界全体を、さまざまな情報の流れが作用するプロセスとしてとらえ始めたのです。…
(2005.04.29 – 2005.07.03 NTT/ICC オープン・ネイチャー展)

もはや梅雨ではなく夏!30度を超えそうな暑い6月下旬、このところの気候の変容を感じつつ、もうすぐ展示替えを迎える初台のNTT/ICCに出かけました。他の方のblogを読むと、なんとメンバーシップ制度が廃止されたそうです。メールマガジンから割引券を受け取ってみるも、さらにライブラリまでも休止のお知らせ。大丈夫かICC…。もしかしたら来年度は閉鎖かも?…と極端なことを考えつつ、素早く到着、入館です。

今日も平日なので空いています。階段を上がってすぐのところで外人達がキーボードを連打しているので何だろうと思っていた作品は、tsunamii.net の “Virtual Marathon” です。キーボードの二つのキーを素早く連打してゴールにたどり着くという単純明快なゲームです。ホストサーバーとのネットワーク距離が走る速度を決定します。見えない「距離」を感じさせるコンセプトになっています。プロモーションビデオも数パターン用意されていて本格的です。遊ぶにはメンバー登録が必要ですが、登録すれば家に帰ってからも楽しめます。(microsoft javaではなくsunのjavaが必要です。)

そして階段手前のギャラリーへ。入って左に東京の上空を映し出す飛行機の計器画面は、マルコ・ペリハン/パクト・システムズ(Marko Peljhan/Pact Systems)の “Spectral-System TYO ON2005” です。個人的なマクロ地球環境情報収集プロジェクトのようですがあくまでコンセプト。実際に飛んだことは無いそうですと解説員。ふーむ。

奥の暗闇の部屋ではスクリーンにノイズのようなものが映し出される、カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)の “spray” があります。物質的に存在するが情報的に存在しないステルスを体感するというものです。どこに座って見ても構わないとのことだったので、スクリーンの真ん前に陣取ります。座っているところがなんか揺れていると思ったら鋭い地響きと大サウンド。なるべく身体を付けて、スクリーンをじっと見ていると、ちょっとした浮遊感が味わえてお薦めの作品です。

ロバート・スミッソン(Robert Smithson)の “Spiral Jetty” 作成の記録映像を横目に見つつ、隣のギャラリーへ。ノウボティック・リサーチ(Knowbotic Research)の “Naked Bandit/here, not here/white sovereign” はバイクの名前ではなく、国が保証する法的な枠組みから追放され、権利をはぎ取られて宙づりになった存在のことを「裸の無法者」として扱うというコンセプトらしいです。プログラム制御された飛行船が黒い標的に向かっていくのですが、赤いボタンを押すことでプログラムを kill process して介入すること出来るというものでした。ギャラリーの外にあるモニタの解説がコンセプトを簡単に説明していて、なるほどねと思ったのですが、飛行船のコントロール技術に感心しました。

今回も無響室作品があったのですが、突如どこからかたくさんの学生達が現れて列を成していました…。今回は残念ながらパスです。最後に興味をそそったのが、ラジオクオリア(radioqualia)の “Radio Astronomy” です。見ている分には静かな星空ですが、この星達は絶えず信号を発しており、この信号を音に変換するとどうなるか…という作品です。

今回のICC展示テーマは、アートというよりかは科学系に偏った感じでした。別にそれは良かったのですが、コンセプトモデルが多く、一見しただけではあんまり後には残らない、イマイチな展示が多かったように思えます。今回の展示テーマの扱いが広すぎたというか、もっと絞り込んだ自然を情報群としてテーマ構築しても良かったのではないかなあと思います。今回のテーマで言うならば、google earth なんて出展に耐え、しかも個人が好きなときに体験できる “アート” たりえるものかなと思います。googleは莫大な資金を必要としたでしょうけど…。ICCにも同じ設備があるのですが、科学未来館の “CAVE” は大人気なようなので、ここはひとつ夏休みにでも復活させてみてはいかがでしょうか。もったいないです。

#NTTの運営資金繰りが大変なのか、はたまた見学者の減少に伴う縮小なのか。変に客には媚びて欲しくはないのですが、もう少しカスタマーサービスを大事にしてほしいです。>ICC

 

  • Photo: kamochan

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2015.04.11 – 2015.06.28 東京都現代美術館にて開催された。

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