ネクスト:メディアアートの新世代展

Written by kamochan June 21st, 2004

2004.04.23 – 2004.06.27 NTTインターコミュニケーションセンターにて開催された。

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……近年、日本各地の美術館などにおいてもメディア・アート作家の個展および企画展が多く行われるようになりました。このことは、これまで現代美術の流れの中では傍流として位置づけられていた感のあるメディア・アートが、多様化する表現の大きな流れの中の一つとして認知されるようになったという事を意味するものと言えるでしょう。……
(2004.04.23 – 2004.06.27 NTTインターコミュニケーションセンター)

梅雨の日が続く六月の東京。そして今日は梅雨の中休み。朝から真夏ばりの暑さの日に運良く展示を見に行くことが出来ました。こんな日は朝から動かないともったいない…というわけで珍しく午前中に初台に到着。昨年度で有効期限が切れたメンバーシップを更新して、今年もフリーパスでICCの展示を見ます!

メディア・アートの新進作家の作品ばかりを集めた今回の展示ですが、これぞ次世代アートというものが見られるかどうか期待が高まります。今回も無響室の作品があり、他の展示を見る前に真っ先に予約しました。平日の午前中は待ち時間ゼロ。早速、作品を体験します。

“”riot please” — / a …. ha…++” というタイトルの作品は、澤井妙治+城一裕+真鍋大度によるもの。内容は是非体験して欲しいのであまり詳しく書きませんが、今までの無響室作品で一番驚きました。体験時間は約5分程度です。ただ、これが無響室で展開されるべき作品かどうかという事を考えると、必ずしもその必要は無いのでは無かろうか…と思いました。そしてそのままギャラリーBの展示群へ。

大畑彩 “internal sense” も体験型の展示です。手にグローブを付けられて動き回ると、見えない物体も空間を動き回っています。近づいてくるとグローブが反応するというものです。なるほど、これはtangible media groupに通じるものがあります。その隣の展示は、春日聡の “morphonia ver2.0″ で、これは無線ヘッドフォンを付けて光の空間に入ると、自分の動きでミニマルサウンドが変化する仕組みです。

思わず「これはホントかいな」と思ってしまった作品は、安藤孝治の”Photon Counting” 。私達が目で見る光(目で見ているもの)というものは電磁波であり、波動性ももちろんのこと、粒子性も持つことが明らかにされました。光がつぶである、と言われてもまるでピンと来ませんが、この作品は光の粒子をノイズとして捉えて聴覚に訴えるものです。展示してある説明文は難しいものでしたが、これは本当に「なるほど」と実感出来るものでした。

ギャラリーAで興味を引いた作品としては、鈴木太朗の “Water Canvas 2004” 。これは水槽の中に浮かぶ気泡で模様を表すというもので、分かりやすく言えば、トリビアの泉でバックにTRIVIAと写っている装置です。3メートル以上も形が崩れないで浮かび上がる模様がすばらしく、E.A.T.的なものを感じました。

そして、中居伊織の “streetscape Hatsudai” 。地図のようなものが描かれたタブレットとヘッドフォンがあり、ペンで適当な場所を指すと、その場所の音が再生されるという、説明不要のエンタテインメント性が高い面白い作品だと思いました。場所を違えたバージョンが他にもあるそうです。個人的には、このタブレットに逆に地図が表示されている方がもっと楽しくなるんじゃないかなあと思いました。

他の作品は、残念ながらあまり興味を引くものが少なかったので、今回の展示は少々物足りない感じを受けました。確かにメディア・アートは今日発展してきた映像技術や写真技術、音楽技術を主として、昔では考えられなかったものまで素材にして、芸術を感じるものにまで昇華させていくという、まだまだ未開拓の分野です。今までの「芸術」とは異なり、何度でも再生可能でその場限りのものでは無いし、すごい作品=近寄りがたいというよりかは、むしろ鑑賞者と表現者との相互作用による、作品への直接的な働きかけがより重要になっていくものと思われます。
ゲームでは無いけれども、作品を体験して楽しさを感じるものとか、身近な事象を最先端のメディア(技術)によって考えられなかった表現をするとか、そのような作品にこそ「メディア・アート」という呼び方がふさわしいものになるのではないでしょうか。

#どうでも良い余談ですが、ICCの案内役の人は美人揃いだったなあ…。

 

  • Photo: kamochan

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