高梨豊 光のフィールドノート展

Written by kamochan March 9th, 2009

2009.01.20 – 2009.03.08 東京国立近代美術館 にて開催された。

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……高梨豊の個展としては過去最大規模となる今回の展覧会は、都市をめぐる作品群を軸に、最初期の作品から、未発表の最新作まで、15のシリーズによって構成されます。一作ごとに、歩行の速度を変え、カメラを換え、方法論を転換しながら重ねられてきた作品群は、それ自体が重層的な構造を持つ「都市」として、展示空間に立ち現れるでしょう。……
(2009.01.20 – 2009.03.08 東京国立近代美術館)

産まれた娘もあっという間に1歳に。餅を背負わせる時期となりました。仕事に子育てにとなかなか美術展に行く暇も無く、昨年10月からの世界同時不況に襲われている、とある冬の日。少しでも非日常の欠片を探しに東京国立近代美術館にやってまいりました。気持ちを明るくしてくれるような、個展のタイトルが良いですね、光のフィールドノート。今回はこの美術館に初めて車でやって来ました。

その駐車場はどこにあるのかというと、すぐ隣の北の丸公園内です。都心のど真ん中なのに3時間400円という安さ。公園利用者が使うことが出来るというので、たぶん休日はすぐに埋まってしまうのでしょう。平日でも結構埋まってましたが、一番近い駐車場に車を止められてラッキー。美術館へ徒歩3分です。

いつものようにロッカーに荷物を入れて、特別展の展示室へ。展示ガイドを手にとって、周りを見渡せば、写真群はそれぞれ15のシリーズに分けられています。ぱっと見、モノクロームの写真シリーズが多いようです。順路通りに従っていくと、初個展 “SOMETHIN’ ELSE”、”東京人”、”オツカレサマ” と続いています。

“東京人” シリーズは、私からするとまさに古き良き東京と言われているイメージはこんなんだろうなという写真群。これらの写真が撮影されてから40年が経ちます。その頃に想像されていたであろう未来都市が現実に今ここにある、という感じで、東京であっても時代の流れを確実に感じます。写真のタイトルには撮影した時期と場所が付けられています。今で言うジオタグ(geotag)ですね。この展示は全体的に東京近郊を写した物が多いので、”東京人” なら懐かしさや驚きを感じられるでしょう。

MOMAT
東京国立近代美術館正面ゲート。いつもの現在開催中の案内が。
The parking lot of Kitanomaru Park
一番手前の駐車場。地図上では左折しかできなさそうですが、右折でも入れます。

 

中でも特に興味を引いたのはカラー写真シリーズの “都市のテキスト 新宿” でした。今でも場所によって全く雰囲気の異なる新宿ですが、それがカラーによって、より強調されて写し出されているように思えます。ゴールデン街がモチーフになっていますが…私は未だ行ったことがありません。

最新作シリーズ “silver passin'” も良かったです。都営バスの車窓からのスナップショットですが、高梨豊氏の年齢を考えるとなんだか非常に重みを感じるのです。都営バスには無料で乗れるシルバーパスと銀塩写真のシルバーを、シリーズタイトルに引っかけているとのことですが、このような写真を撮っている高梨氏もいぶし銀ですな…と思うのでした。タイトルが路線名なので、これまた写真家が身近に感じられるものです。

本展示室の隣では、横山大観の “生々流転” が公開されていました。これも初めて見ましたが大圧巻です。全長40メートルを超える巻物の水墨画。「大気中の水蒸気からできた1粒の水滴が川をなし海へ注ぎ、やがて龍となり天へ昇るという水の一生」を描いた、ストーリー性も溢れ、まさに静と動が感じられる作品でした。自分の一生も、静と動、メリハリが付いてこのようにかくありたいと思います。

来年まではなかなか美術展に行ける時間が無いかも知れませんが、美術展を見れば見るほど、もっと早くいろんな作品を見たかったなあと思うことしきり。忙しいけれども、フットワークを軽くして、あちこち出かけていきたいと思います。

#子育て期間は夫婦でのんびり過ごす…なんてことも出来ないのですが、そんなんでもやっぱり好きな事をする余裕を徐々に作っていきたいですね。まずは娘を芸術好きにしなければいけません。手元にはバウハウス・デッサウ展のペアチケットが。

 

  • Photo: kamochan

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