20世紀美術探検-アーティストたちの三つの冒険物語展

Written by kamochan January 28th, 2007

2007.01.21 – 2007.03.19 国立新美術館 にて開催された。国立新美術館のオープニング展示。

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……20世紀の大きな特徴のひとつは、それが都市を中心とする物質文明の時代であったということでしょう。大量の工業製品や商品など、さまざまな物にあふれる世界に身を置く経験は、先立つ時代の人類にはまったく未知のものでした。アーティストたちは、このような新しい状況を敏感にとらえ、それを革新的な芸術の形式によって表現しようと試みます。この展覧会は、冒険精神にあふれたアーティストたちの果敢な挑戦から生まれた多種多様な20世紀美術の展開を、デザイン、工芸、建築などのさまざまな分野にも目を配りながら紹介しようとするものです。……
(2007.01.21 – 2007.03.19 国立新美術館)

2007年の最初を飾る美術展は、いよいよ公開が待ち望まれていた、国立新美術館のオープニングでスタートです。六本木エリア・乃木坂に完成した黒川紀章(Kisho Kurokawa)設計の建物へようやく入場することが出来ました。初日はさすがに混むであろうと思い、平日である2日目に出かけました。地下鉄の乃木坂駅からは6番出口という新しい出口が出来ており、直結しているので便利です。ここから行くと、ちょうど美術館の裏手から入場するということになります。

まだ真新しい建物です。1-2Fはすべて展示室、3Fには展示室とライブラリ、レストランがあります。波打つ特徴的なファサードの中に実際こうして入って見ると、天井も高く開放的であるものの、案外狭く感じました。ただ、心地良い広さという感じです。混雑は予想していたよりも少なくて、展示室内はゆったりです。この美術館の良いところは、展示空間のみ観覧料を払う仕組みなので、カフェでお茶をしたり、ぶらぶら建物の中を歩くには自由なのです。もちろん建物の中で写真もバシバシ撮れますので、たくさんの人が一眼レフやデジカメで写真を撮っていました。

NACT face
国立新美術館のメイン・エントランス。波打つ印象的なファサードでまさに美術館の顔となっています。
NACT atrium
中にあるアトリウム。ここで休憩や軽食が出来ます。逆コーンの上はレストランです。

 

オープニング記念展示となる本展示は、1Fの展示室全てを使っています。”アーティストたちの三つの冒険” というタイトルの通り、3つのセクションに分けられていて、最初は静物画と物質(マテリアル)。次に比較的近代に作成された作品群の展示で、最後は6人の作家をフィーチャーした展示構成となっていました。1つ1つの展示室は意外に広いです。いつものように感想をうにゃうにゃ書きたいのですが、とにかく作家数・展示数ともに国立のスケールを見せつけられ「これでもか」と迫る作品群の前に、気になった作品などを覚えきれませんでした…。

さて展示室が変わって、II部ではマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)と、クルト・シュヴィッタース(Kurt Schwitters)が大々的に取り上げられていて、ダダ、バウハウス、ジャンク・アート、ポップ・アートなど、ジャンルを幅広く集めて展示されていました。ゆっくり見たかったところなのですが、すでにI部の段階で、発散する芸術エネルギーにやられておりましたので、そこそこに次の展示室へ向かいます。

最後のIII部では、高柳恵理(Eri Takayanagi)、アンドレア・ジッテル(Andrea Zittel)、シムリン・ギル(Simryn Gill)、コーネリア・パーカー(Cornelia Parker)、田中功起(Koki Tanaka)、マイケル・クレイグ=マーティン(Michael Craig-Martin)の6人のアーティストをフィーチャーしています。

テーマの通り、もの(マテリアル)をベースとした作品群ですが、最近の作品が多いのでメディア・アートのエッセンスも強くなってきます。この中で興味を引いたのは、まずコーネリア・パーカーの作品 “ロールシャッハ” で、スプーンやトランペットなどをプレス機で潰し、それらを同じ高さに吊してあるというものです。かなり広大なスペースに展示されているのですが、押しつぶされた “もの” たちが、宙に浮かぶ見えないもう一つの平面を浮かび上がらせています。なんとも言えない浮遊感がなかなか良いです。

田中功起のものは、小さな作品群をたくさん出展していて、おもちゃ箱のような展示室になっています。作品タイトルがそれぞれ詩のようになっているのですが、これら普段日常的に体験している/当たり前だと思っていることを、改めて作品として再構築し、”もの” に対する視点を変えて提示するものといえます。なので “あたりまえのこと、あたりまえでないこと、そしてたぶんそのほかのこと” という作者のメッセージがわかりやすく伝わってくる展示になっていました。

ようやく見終わった頃には日が沈みかけておりました。間違いなく、いままで訪れた中でも最大の展示ボリュームでした。目的をしっかり持っていかないと、だらだら見てしまう感じになってはっきり言って疲れます。この企画展について、いまいち情報が少ないので一層の充実を図って欲しいと思います。時間に余裕があれば、休憩コーナーとトイレは展示室内にあるので、十分にじっくり堪能できると思います。そして、分厚い図録が2000円とリーズナブルなので、これを買って帰るのも良いかもしれません。

NACT atrium from 3F
アトリウムを3Fから眺める。
NACT foods
1Fのカフェの軽食。サンドウィッチが650円とは高すぎませんかね…。

 

私は十二分に満足したのですが、2Fで黒川紀章展と、文化庁メディア芸術祭10周年企画展「日本の表現力」も同時開催!ここまで来たら全部見て帰ります。

どちらの展示も無料と思えないくらい気合いが入ってます。文化庁の “日本の表現力” 展は、昨年夏に公開アンケートされた結果が反映された、日本の1950年代から今までのメディア・アートの歴史がざっと俯瞰できる、価値のある展示となっています。文化庁の活動に対する広報活動が少ないせいもあってか、認知度が低いようです。毎年やっている文化庁メディア芸術祭の受賞作品展示期間も2週間くらいしかないので、会期中にはぜひ見に行ってきたいと思います。

とにかく初めての国立新美術館体験は、展示の量で圧倒されました。これから行われる企画展も楽しみですが、いまのところ予定されている国立新美術館主催の展示は、モネとフェルメールで絵画寄りのようです。マンガも日本の誇るコンテンツ…というように最近高い評価がされてきましたが、マンガだけならず、国立の各美術館がもっと日本人アーティストの発掘・発展に寄与してもいいんではなかろうかと考えます。ちなみに、地下1Fがミュージアム・ショップになっていて、この手のショップとしては品揃えがかなり充実していると思います。

#国立新美術館は、基本的には貸しスペースのような運営になるようで常設展は無いそうです。身軽で良い反面、あんまりコストをかけない姿勢なんでしょうか。今回の展示を見に行くのにホームページを調べてみましたが、前売り券がどこで買えるかとか、展示の詳しい内容などが見つかりませんでした。サイト運営はそんなにお金がかからないと思うので、もっとこのあたり力を入れて欲しいです。

 

  • Photo: kamochan

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