藤田美術館~名碗と水墨画展

Written by kamochan June 1st, 2007

2007.03.17 – 2007.06.03 藤田美術館 にて開催された。

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……第119回春季展/名碗と水墨画 今回の春季展では、収蔵品の中でも最も有名なもののひとつ、国宝「曜変天目茶碗」をはじめとする、数々の優れた名碗と水墨画を公開いたします。……
(2007.03.17 – 2007.06.03 藤田美術館)

早くも初夏が訪れた日本列島、ここのところ天気も良く散歩日和が続いています。前から気になっていた大阪の美術館に訪れることにしました。京橋駅でJR東西線に乗り換え、すぐ次の大阪城北詰駅から歩いてほんの1分で入口に着きました。藤田美術館です。想像していたものよりも古く、かなり小さな建物で驚きました。さて、ここに訪れた目的はただひとつ、国宝 “曜変天目茶碗” を見ることです!以前、テレビ番組で見て以来、一度は本物を見てみたいもんだと思っていたのですが、物自体が3個しかないという事と、意外とそんなに公開されていないという事で、だいぶ時間が経ってしまいましたが、ようやく実物を見れる機会がやってきました。

蔵を思わせるような美術館の入口をくぐるとすぐ正面が受付です。入場料800円を支払い、受付がクローク代わりになっていて、そのまま荷物も預けて展示室へ。日曜日なので混んでるだろうと思ったものの、人の気配はほとんどありません。

fujita museum of art - 1
庭には立派な塔と蔵(?)が。茶室もあるようです。
fujita museum of art - 2
展示室入口。建物は蔵のような作りで趣があります。神殿みたいな作りですが、結構見た目は古いです。

 

展示室への入口も重厚な扉でどっしりした雰囲気です。室内はこじんまりとした空間で、小さな美術館の雰囲気が出ておりなかなか良い感じです。このような展示に来るのは初めてなので、まずは適当に順番に見ていきます。

狩野正信の山水画や、いかにも威厳ある焼物…という茶碗が並んでいます。1階は室町時代から江戸時代の作品が展示されていますが、某TV番組のお宝鑑定に出てくるような…全て本物ですが…そんな雰囲気ある作品が多かったです。こういうものを数多く見ていれば目利きになれるんでしょうか。

木造の階段を登って2階へ。部屋の真ん中の展示台に、造作なく、国宝の曜変天目茶碗が置いてありました。そしてこの部屋にいるのは私一人。こんなに静かに国宝と対峙出来るとはすごい贅沢です。上から見てみたり、あちこちの角度から見てみたりして、見るべきポイントを知らないながらもじっくり見てきました。

茶碗は思っていたよりも小振りで、ご飯が丁度よく盛れるような普通の大きさです。本来はお茶を淹れるんでしょうが…。漆黒の茶碗ということですが、照明の問題か、群青より黒に近いけれど漆黒では無い感じがしました。茶碗の中に虹色に光る「曜変」が見られ、とても綺麗な茶碗です。焼物なのにこの虹色が出せるとはすごい。縁も金色に仕上げてあって、何かを入れるのはもったいないくらいです。

ほとんど曜変天目茶碗ばかり見て、他の作品はざっと見た程度でしたが、2階の展示室は主に南宋時代李朝時代の作品を集めたものです。雪舟自画像や了庵桂悟墨蹟、御所丸黒刷毛茶碗(銘 夕陽)あたりの重要文化財もありました。あらかじめ権威によってクラス分けされた情報を得てから「すごい」「なるほど」としか言えないところが私もまだまだ審美眼にはほど遠い…。

滞在時間こそさほど長くありませんでしたが、「良いもの見たな」的な満足感がありました。この曜変天目、復元計画に取り掛かっている陶芸家も多いようです。これで三碗中の一碗を見たことになります。残りの二碗も国宝で、東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館、京都・大徳寺龍光院に収蔵されています。せっかくなのでこれらも見る機会があれば見てみたいなと思いつつ、帰途につくのでありました。たまにはこういうジャンルを見に行くのもいいですね。

fujita park
こちらは美術館に隣接する藤田邸跡公園。手入れが行き届いていて緑が目にまぶしいです。
fujita museum of art - 4
もともとは寺の門だったのがそのまま残って、公園の入口になっています。近松門左衛門の心中天網島の舞台とされるのがこの公園だそうです。ヤモリが歩いてました。

 

#藤田美術館の反対側には、太閤園というこれまた重厚な結婚式場があります。椿山荘の藤田観光と関係あるのかと思ったら、やっぱりあるようでした。なるほど、それで藤田美術館なのか。そして、静嘉堂文庫美術館の曜変天目茶碗は展示スケジュールによると、2008年2月に公開されるようです。ぜひとも行ってみなくては。

 

  • Photo: kamochan

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